かくされたメッセージ・テスト

「印象テスト」では、被験者はリストの中のごく一部の性格特徴だけを取り上げて、それに基づいてその人物の印象をまとめてしまった。「かくされたメッセージ・テスト」でも、雑音で単語のごく一部しか聞きとれないにもかかわらず、いつも完全な単語を聞きとったかのように、まとまった単語を報告した。もちろんそれは誤ったものが大部分だった。

同様のテストが、「失敗ストレス」を受けなかった被験者にも与えられたが、大多数の被験者は、わからないものはわからないままに、あいまいなものはあいまいのままにしておいて、無理に意味づけや、誤った答えを出そうとはしなかった。このように、自分の内に何らかの不安感を持った人たちは、外界のあいまいさに耐えられないで、自分で勝手に必要なものを補っても、完結した完全な外界を見ようとするのである。したがってこの人たちの知覚する世界は、普通の人の世界とはかけ離れた、歪みの多い不自然な世界ということができる。