スウェーデンの生協

スウェーデン国内では1,200もの障害者グループが活動している強みで、貧しい国の障害者のことを知らせる開発教育に力を入れている。「途上国の障害者たちが作った民芸品の展示会や写真展などもよく開きます」とエケレフさんが、オフィスの一角の写真パネルを見せてくれた。洋服を縫う身障者女性グループ、車イスの人たちの製靴工場、トマトを収穫する目の不自由な少女たち。貧困と障害の二重苦にめげず、力を合わせて生きるアフリカの障害者たちの姿に深い感動と共感をおぼえた。

エケレフさん自身聴力障害に悩みながら、こうして遠い大陸の人々のことをまるで我がことのように真剣に考える、その優しさと威厳。4人の子の母親だが「子育てが終わり、8年前に3回目の手術で聴力障害が軽くなったので。成人学校に入ったんです。世の中の役に立つ生き方がしたいと思ったので」と実に明るい。まず、ろうあ者団体の広報の仕事についたが、SHIAが発足してスカウトされた。「アジアやアフリカの障害者の自立をお手伝いできるので、とてもやり甲斐があります」という彼女の柔らかな微笑に、途上国で最底辺に呻吟する障害者を思いやるスウェーデンの障害者たちの心を感じた。

ストックホルムで協同組合の店に入ったらレジのところに「国境なき基金」という募金の呼びかけが目についた。スウェーデンは協同組合運動が盛んで、生協の店が全国津々浦々に2,000軒もあるが「協同組合センター」が途上国の協同組合作りを応援するために何と1958年から続けているキャンペーンだ。

「その年にストックホルムで開かれた協同組合世界大会で、第三世界の協同組合作りを手伝おうとした。そのために募金しようという訴えがあり、スウェーデンの生協、農協、住宅協同組合、協同組合銀行など7種の協同組合全国組織が1968年にSCCを結成したわけです」と同センター事務所でイェンペリ所長がいった。

「1960年代に入って、第三世界の開発問題に取り組み始め、その活動が年々盛んになって、今では、年7,000万クローネ(17億5,000万円)もの予算を11ヵ国に使うほどになった」。活動の目的は三つ。一つは第三世界の協同組合の設立、発展を支援する。もう一つは会員に第三世界の問題を教育する。さらに協同組合間や、アジアとかアフリカなどの地域ごとに、そして国際的に協力関係を作る。

第一の南の国の支援の内容については。「スウェーデン協同組合開発援助年次報告」という写真や図入りの立派なパンフを渡された。「特に女性たちのためのプロジェクトに力を入れている。女性は最も貧しく、最も抑圧されているので、彼女たちが協同組合を作って少しでも自立できるようにするためだ」とイェンペリ所長が強調するように、インドではハリヤナ州の農村とアクラの町の女性の生活向上プ尽シェクト、スリランカでは生協女性幹部養成のためのセミナーを各地で開くのをサポートしたりしている。