インターネットーキャッシュ

スーパーキャッシュバリュー「価値」が銀行・消費者・銀行というように、消費者が買物などで利用するとただちに小売店から発行主体へ戻ってくる「クローズドループ型」だが、消費者が最初に利用した場所からただちに発行主体に戻ってくるとは限らない「オープンループ型」の電子マネーもある。それが一九九八年九月から実験が開始された「インターネットーキャッシュ」だ。

これは文字通りインターネットを介して、利用者間で譲渡したり、未使用分を自分の銀行口座に入金したりすることができる。匿名性を持たせ、支払時に名前などの個人情報を使うことぱないから、実際の現金により近いといえる。利用者には専用のソフトウェアとICカードの読み取り機が無償で提供されており、電子マネーの支払いやICカードへの入金にはパソコンが使われる。

新たに特別なカードを発行しなくても、金融機関のキャッシュカードに小売店での支払機能を持たせてキャッシュレスーショッピングを提供するのが「ダビッドカード」だ。利用店に置かれた端末にカードを読み込ませて口座の暗証番号を入力すると、利用者の銀行口座残高を調べて代金を小売店の口座へ移動させる仕組みである。口座間の資金移動をオンラインを通じて行うところがみそで、欧米で普及しつつあるため、日本ダビッドカード推進協議会が一九九八年六月に発足、九九年一月にサービスを開始した。

このように電子マネーの中身も様々で、まだ実験段階にあるのが実情だが、実際のプロジェクトを見ると、複数の決済機能を組み合わせて多機能化している点は注目に値する。たとえば「ビザキャッシュ」の実験を神戸市で行っているスマートコマースージャパンでは、ICカードとインターネット双方の利用が可能であり、またプリペイドカード型の電子マネーだけでなく、従来型のクレジットカードの機能も持たせている。東京・渋谷のスマートカードソサエティーでもICカードを利用しているが、プリペイドカード型電子マネーとキャッシュカード機能をも持たせている。