生活習慣と高脂血症

コレステロールそのものは細胞膜や大切なホルモン合成の原料となるので、量が正常範囲にとどまっていれば、体内でいたずらをすることはないのですが、量が増えすぎることが問題なのです。HDLは肝臓や小腸で合成されます。HDLの役割は、LDLとは逆に、肝臓以外の全身組織にあるコレステロールコレステロールエステルのかたちに変えて肝臓内に回収することです。これを「コレステロールの逆転送」といいます。HDLが「善玉」コレステロールと呼ばれるのもこの作用のためですが、血液中のHDLが減った状態では当然未回収のコレステロールも多くなります。

前回、詳しく述べましたが、症例2のような生活を送ると高脂血症が起こってきます。彼は、ストレスを食べることとアルコールで解消していました。夕方になるとほとんど毎日一杯やりながらヤキトリ、おでん、天ぷらを食べ、帰宅してから夕食、寝る前に和菓子かバウムクーヘンを食べていました。

これでは完全な摂取エネルギー過剰状態です。そのうえ運動らしきことを全くしていませんから、太って当然、コレステロール中性脂肪も高くなって当然です。症例6は定年退職後運動量が減り、暇ができたので海外旅行にでかけグルメツアー、国内ではフランス料理、自宅では間食に和菓子とフルーツ、という生活を送り高脂血症を悪化させています。

これらに共通していることは、摂取エネルギーの過剰(過食)と運動不足です。一般に男性の場合はアルコール、外食、女性の場合は菓子類の間食が問題になります。症例2のように、食事は一日ハ○○キロカロリー、一日三食バランス良く食べる、アルコールはやめる、夜食は絶対にしない、一日一万歩以上必ず歩く、という目標が実行できれば、体重も血糖もコレステロール中性脂肪も下がってきます。